アイアンブリッジ峡谷

アイアンブリッジ峡谷

 イギリスのロンドンから北西方向に190キロ離れたバーミンガムの郊外コールブルックデイルは、産業革命の発祥の地で、18世紀後半から19世紀にかけてイギリス製鉄業の中心地で、現在も、溶鉱炉・鋳鉄工場・労働者の住居跡が保存されています。

 また、コールブルックデイルの郊外を流れるセヴァーン川が形成した美しい峡谷である「アイアンブリッジ峡谷」には、1779年世界で初めて鉄の橋が架けられました。
全長約60メートル、幅約7メートル、高さ約20メートルで総重量は400トンでした。
橋の名前はアイアンブリッジです。

 これらの建造物が世界的に見ても歴史的な価値があるとして、「アイアンブリッジ峡谷」一帯が1986年に世界遺産に認定されました。

 「アイアンブリッジ峡谷」が産業革命の発祥の地となったのは、二つの理由からで一つは、石炭、鉄鉱石、石灰岩や粘土といった原料が、この峡谷では露出していて採掘が容易であったこと、もう一つは、セヴァーン川が広くて深いため、製品を海まで運搬することが容易であったことです。

 製鉄業が盛んになったのは、実業家エイブラハム・ダービー1世が、画期的な製鉄法を開発したのがきっかけで、最盛期にはイギリスが生産する鉄全体の4分の1を生産していたといいます。
そのためでもあったと思われますが、生産した鉄をより運搬しやすくするために頑丈な鉄の橋を作る計画が持ちあがったと推測されます。

 当時、アイアンブリッジの建設費用はとてつもなく高額であったと考えられますが、1795年2月にセヴァーン川が大洪水を起こした時、他のセヴァーン川にかかる橋がことごとく流されてしまいましたが、この橋だけは破壊されなかったので、大金を投じてもそれだけの価値があることを世に知らしめました。
230年以上の時を経ても、保存のため車両の通行は禁止されましたが、今なお人の通行は可能です。

 「アイアンブリッジ峡谷」、「アイアンブリッジ」は共に通称で、本来は、それぞれ「セヴァーン渓谷」、「コールブルックデイル橋」という名称です。
アイアンブリッジの名称が有名になったので、共にアイアンブリッジの名前を付けて呼ばれることになりました。