ブレナヴォンの産業景観

ブレナヴォンの産業景観

 イギリスの世界遺産である「ブレナヴォンの産業景観」は、18世紀後半に設立された製鉄所の溶鉱炉跡や、石炭を採掘した後にできるボタ山、労働者の住居跡が廃墟となって残る場所です。

 「ブレナヴォンの産業景観」のある南ウェールズのブレナヴォンは、ロンドンの北東、鉄道で約2時間、そしてバスを乗り継いで1時間と交通不便な場所にあります。
しかし、その廃墟跡の景観は、イギリス産業革命をリードした歴史の重みが伝わってくる場所です。

 その労働条件は過酷で危険を極めました。それだけに廃墟は、あくまで静かに黙して佇んでいますが、後世に産業革命の活気の名残を語り続ける場所です。
そして、加速度的な豊かな生活が始まることになる歴史を示す場所の一つです。

 その理由は、鉄は産業のコメと言われるほど、石炭・鉄は産業の発展には必要な材料でした。
「ブレナヴォンの産業景観」に残るこの場所には、鉄を作り出すエネルギー源である石炭の採掘と、同時に鉄の原料となる鉄鋼石が採掘でき、産業を発展させる両輪が揃っている場所でした。

 「ブレナヴォンの産業景観」に見られる廃墟跡や、使用された資材が赤く錆びて残る姿は、当時の活況を伝えるとともに、産業の変遷の峻烈さが心に迫ってくる場所です。
迫力ある自然の大絶景も魅力的で感動するものですが、人間の歴史、それも過酷な歴史が詰まった場所の大規模な廃墟跡のある風景は、心の底から魂を揺さぶる感動を感じることができます。この感動は大絶景の自然の感動とは異なったものです。

 現在、「ブレナヴォンの産業景観」には、18世紀後半に設立されたブレナヴォン製鉄所の溶鉱炉や、石炭を採掘した跡が残る「ビッグ・ピット炭鉱」をはじめ、鉄鉱石や石炭の鉱床跡、採掘場所、労働者の住居跡、鉄道跡などが、数あるイギリスの他の炭鉱町よりも完全な状態で保存されているので2000年に世界遺産に登録されました。

 ビッグ・ピットは、1980年に炭鉱が閉山になった後、3年後にはその一部が国立石炭博物館になりました。
ここでは、かつて使われていた石炭を掘るために坑道を、鉱夫の気分で見学することができるようになっています。
当時、使用されていたというヘッドランプを装着して、坑道に入り、約1時間もかけて見学します。
残念ながら、坑道内は撮影禁止です。

 尚、ここ「ブレナヴォンの産業景観」を訪れるときは、ロンドンから鉄道に乗り、ニューポートで下車し、ここからバスに乗り換えますが、このバスが日曜日には1本しかありません。事前に良くスケジュールを調整して訪問する必要があります。