ファウンテンズ修道院遺跡群を含むスタッドリー王立公園

ファウンテンズ修道院遺跡群を含むスタッドリー王立公園

イギリスの「ファウンテンズ修道院遺跡群を含むスタッドリー王立公園」は、イギリス北部ノースヨークシャー州の緑豊かな田園地帯のリポンの丘に流れる小さなスケル川の自然を利用して作られています。

スタッドリー王立公園の中には、直径50メートルにもなる円形や半円形の人工の池、森などが複数配置された広さ約2.6キロ平方メートルの美しい人工の公園でありながら、巧みに自然を取り入れた高い技術によって、違和感のない美しいイギリス式庭園となった公園です。

スタッドリー王立公園は英語名では「Studley Royal Water Garden」と「Water」の文字が入っているほど、水が巧みに取り入れられた庭園で、イギリスの庭園としては極めて稀な公園です。

公園内には、12世紀に創建され、その後16世紀半ばに閉鎖されるまで増改築されて大きな建物となったファウンテンズ修道院遺跡群があります。

ファウンテンズ修道院遺跡群の今なお残っている建物は、一部にアーチ型の天井部分が残っている箇所もありますが、その多くは天井部分が抜け落ちて壁だけしか残っていない箇所も多く、それ故に長い歴史を感じさせる廃墟となっています。

この庭園は、18世紀に当時の貴族によって作られたのですが、この頃、流行ったロマン主義の影響で歴史的な価値のあるものに、強い憧れを持っていたことからファウンテンズ修道院遺跡群を庭園内に取り込んで作ったと言われています。

そのため、スタッドリー王立公園に廃墟が公園に溶け込むように風景の一つとして、取り込まれています。
しかし、一歩間違えば、ファウンテンズ修道院遺跡群は、見捨てられて見る影もない廃墟、または自然と調和しないただの古びた廃墟となった可能性があります。

ノルマン・ロマネスク様式で建造されたファウンテンズ修道院の本堂や塔などは、中世の貴重な建造物として価値があるとして、スタッドリー王立公園とともに1986年に世界遺産に指定されました。

廃墟ではありますが、それでも最盛期には1000人もの修道士が、ここで生活していたという中世で最大規模の大きさの誇る修道院になっていたことを十二分に感じることができます。

遺跡の数々から、スタッドリー王立公園の自然を利用してファウンテンズ修道院遺跡群の建物が機能的に、合理的に、美的に配置されていることを伺い知ることができます。
公園内の緑に廃墟が溶け込んで悠久の時間の流れの中に廃墟にあるが故に強くイギリスの中世の空気がそこに流れているような感覚に陥ることができます。

「ファウンテンズ修道院遺跡群を含むスタッドリー王立公園」は、決してロンドンから交通の便の良い場所に存在している訳ではありませんが、年間30万人を超える観光客が訪れる人気の世界遺産である理由が理解できます。